じょっぱり、故郷に帰る。

あけましておめでとうございます。
早川です。

みなさんお正月はどのように過ごされましたか。
私は実家の青森に帰省致しました。
このコロナのせいで、帰省するにもひと騒動がございましたので
そちらをご報告致します。

青森に帰省する前日に、青森の姉より
“帰ってくるのを楽しみにしておりますが、
PCR検査を受けて、その結果が出てから、
家に入ってください。
LINEがありました。

昨年末はワクチンの効果があったのか、この熱海ではほとんど陽性者は出ておらず、
まず、間違いなく、私も陽性ではないと思うと説明しましたが
“いいえ、受けてから帰ってください。”
との事。

年の瀬で、明日までにPCR検査を受けられるところなどなく、
仕方なく東京新橋まで行き、検査を受けることにしました。
会場も検査を受けてからの帰省したい方が多いのか
行列ができていました。
結果が出るのは明日になるとの事だったので、せっかく、青森まできたのに、家に入ることはできず、仕方なく青森駅近くのホテルに宿泊することにしました。

はるばる青森まで来たのに、家にも入れてもらえないとは!!!
すっかり、やさぐれて、深夜の青森の街に繰り出すことにしました。

伺ったのは
“じょっぱり”
という、居酒屋さんです。

みなさん “じょっぱり”という津軽弁をご存知ですか。
これは津軽の人の独特の性格を表していて
意地っ張り・頑固者・融通が利かない
などの意味があります。
私も多少ではありますが、そういうところがあるような気もします。

とにかく一人で、心静かに呑もうと決めました。

しかし、玄関に入ると、ガテン系の男性が
”ようこそ、おいでくださいました。”と言って勢いよく、
“歓迎の太鼓”を叩き出しました。

一人でやさぐれて、静かに呑もうと思っていたのに
どうすれば、”歓迎の太鼓”を叩かれることになるのだろうと
考えこむ。

店の中は、提燈の灯のみで、少し薄暗いのですが
なんだか、とても落ち着きました。
まだ電気が通っていなかった時の田舎の家はこんな感じだったのだろうかと、ぼんやり考えていました。

まずはりんごビールを注文し、一人で乾杯です。

青森の郷土料理、貝焼です。
ホタテ貝の出汁がたっぷりと入り、香ばしいです。

白子の刺身です。
さすがは津軽海峡でとれるものは、身が引き締まっていて、
とても都会では感じられない舌触りです。
一人でこっそり、ご馳走を食べるのは、悪いことをしているようで
ちょっと楽しくなってきました。

これも津軽名物、生姜味噌おでんです。
昔から体を温めるために、青森の郷土料理は生姜をたくさん入れた料理が多いのですが、その中でも代表的なのが
この生姜味噌おでんです。
身体も心も温まりました。

お店の人たちとの会話も楽しかったです。
久しぶりに聞く津軽弁が、素朴で、優しく耳に響きました。

あまりに楽しくて、最後に心付けを渡そうとしたのですが、
“いいえ、頂けません。店の決まりですから。”
と言って、きっぱりと返されました。

店の外まで、スタッフの方が見送りに出て、無事に帰れますようにと火打ち石を打ってくれました。
“寒いから、もう、いいですよ。”と言っているのに
私の姿が見えなくなるまで、見送ってくださいました。

本当に津軽人は“じょっぱり”です。
今日1日だけでも、たくさんの“じょっぱり”を見ました。

本当は早く帰ってほしいと思っていているくせに
他の人に迷惑をかけてはいけないと、検査の結果がわかるまでは、戻ってくるなという、母と姉。

たった一人のお客さんでも、“歓迎の太鼓”を叩く津軽人。
絶対に心付けを受け取らない頑なさ。
地吹雪がおきていようが、凍えてしまおうが、お客さんが見えなくなるまで、見送るじょっぱり。

この感じが、懐かしくて、懐かしくて、何となく涙が出てきました。

若い時には気が付かなかったのですが、故郷を離れてから、年々、故郷の人たちの良さが、身にしみてわかるようになってきました。

私も青森を出てから、30年になりますが、津軽人は津軽人です。

田舎者ではありますが、“じょっぱり魂”でがんばりますので、皆様、今年もどうぞよろしくお願い致します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です